図工について考え、これから勉強していこうと思っている小学校教師の日記


by hita61
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 国立新美術館で開催されている「没後120年 ゴッホ展 こうして私はゴッホになった」を見に行った。f0236373_183591.jpg
 私は、ゴッホの「アルルの寝室」を扱った授業をしたことがある。だから、「アルルの寝室」の実物を見てみたかったし、ゴッホに興味があった。ゴッホが画家として過ごしたのは、27歳から37歳で亡くなるまでの10年間しかなかったと紹介されていた。

 ゴッホは模写をたくさんしていた。同じ絵を何枚も描いていたし、すっかり同じ構図で農婦が持っている物がスコップか箒の違いだけのものもあった。初期の頃の絵の中には、人物の頭が大きくてバランスがとれていないものもあった。
 描く対象の比率や遠近感を描くために「パースペクティヴ・フレーム」を使っていたこと、「灰色のフェルト帽子の自画像」では、見たままを描くのではなく背景を変えたこと、ゴーギャンの「ブルターニュの少年と鵞鳥」では、ゴーギャンは感情を絵に表すことができると考えていたことなどが紹介されていた。
 作品名は忘れたが、青いテーブルの上にタマネギが置いてあるゴッホの作品があった。その作品を見ていたおばさま2人の「つくえの形がちゃんと取れていなくても、タマネギの形が歪でもいいのよねぇ。私の(絵の)先生も、いいって言ってくれないかしら。」という会話が聞こえた。

 学校では、まねはよくないイメージがあるけれど、まねもありなんだ。また、実物そのものの色や形でなくてもいいこと、そのときの自分の感じ方、気持ちを大切にすることなどを子どもたちに伝えるとき、ただ先生が話すだけでなく、このような画家を例にあげながら話すと説得力がでるし、子どもの中にスーッと入っていくと思った。
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by hita61 | 2010-10-23 20:09 | 他の場所
 埼大付属小学校の教育研究協議会に行った。付属小の授業研究会に行ったのは初めてだった。
 分科会で「題材の特性に応じ、児童の活動状況を読み取る評価方法の工夫」の研究発表がされた。児童の活動状況に応じた評価の分析等は、大変参考になった。研究発表を聞くことで、私の頭の中で漠然としていたものを整理することができた。

 指導講評では、文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官の奥村先生の話が具体的でとても勉強になった。奥村先生は、一人の児童の目線から授業全体を見ていた。
 それは、
○先生の話を聞いている途中で、持っていた粘土で何かを作り出した→児童はあきてしまった→先生の話が長いと言える
○児童が赤いマジックを前から持ってきた、さらに、後方にある引き出しから折り紙を取り出してきた→誰に聞くこともなく自分で動いている→使いたいものが使える手立てがあると言える
○先生が近くの児童と話しているのを見た、先生が後ろの児童と話しているのを見た→先生が自分以外の児童と話している内容を聞いている→先生が一人の児童と話している言葉は、その一人の児童の支援だけではないと言える
○全児童を黒板前に集めて指導していたとき。
先生が一人の児童に構想の話を聞いた→話を聞いていた児童の目線が、発言している児童の拡大されたワークシートに動いた→ワークシートを拡大したことは、論理的に考えられる手立てになっていると言える
という見方だった。

 私も、一人の子を決めてその子がその時間に何を考え、何を学んでいるのかずっと見るときがあるが、そこから、環境づくり、支援等授業全体を見るには至らなかった。だから、奥村先生の見方がとても勉強になった。

 また、言語活動については、活動がないと言語は生まれないことを、「おいしいものを食べないとおいしいとは言えない。」という例えを使って話されていた。
 言語活動の充実としての教師の存在は、
1 低学年は、先生と話したい。先生と話すことで、「何が」「どこから」どのように」が整理される。
2 高学年では、論理的な会話ができる。先生と話すことで、新しい見方、方法、材料、判断ができるようになる。

 さらに、研究授業では、図工・造形から見ずに、子どもを感じるという姿勢で評価活動すること重要であること、
 共通事項については、
○色や形は、教師も子どもも作品を分析的に見る道具であり、教え込んだり、教え込まれる道具ではない
○ぼんやり印象で語っていたものが、形や色に着目させることで具体的に解説できたり、具体的に考えることができる
とも話されていた。

10分程度の指導講評だったことが残念だ。もっと聞きたいと思った。
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by hita61 | 2010-10-22 23:10 | 小学校
 長野県千曲市立戸倉上山田中学校に行った。10月10日(日)に7年目になるアートプロジェクト「とがび」があるためだ。埼玉県の小学1年生のザリガニの絵を300枚展示して「ザリガニをハウス」をつくる手伝いをした。
 低学年でよくザリガニの絵は描かれるが、教室全体に絵を展示することは初めてだった。ザリガニの絵ばかり集めて見るのも楽しかったし、教室を川と見立てて展示するのも楽しかった。
 空き教室があれば、その教室を池や川と見立てて、子どもたち一緒にとザリガニの絵を展示するのもとても楽しそうだと思った。図工の鑑賞活動でもあるし、ザリガニのすむ環境を設定していけば生活科にもなると思った。
 また、絵が描かれた時の写真もあった。机や椅子は教室外に出され、教室内をザリガニつりをした池に見立てて、子どもたちが思い思いの場所で絵を描いていた写真だった。こういう工夫が意欲を高めていくのだと思った。
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by hita61 | 2010-10-12 18:17 | 他の場所
 午後7時頃、松山空港に着いた。四国に来たのは、愛媛県松山市立高浜小学校の木村早苗先生の授業見学をさせていただくためだ。木村先生は、小学校学習指導要領解説図画工作編作成協力者になっている先生だ。
 木村先生と夕食をご一緒させていただいた。お話をさせていただいている中で、私にとってまた新しい発見があり、勉強になった。

1 子どもの世界を見つめる展
 これは、今年度から始めた取組で、「子どもが日常に描いた絵」の展覧会だそうだ。私は、今まで「子どもが日常に描いた絵」の展覧会は、見たことも聞いたこともなかったし、とても魅力的に感じた。
 これは、らくがきちょうのような薄めの紙のスケッチブックに日頃から子どもたちが描きためていたものを、色画用紙の台紙をつけ、題名、作者のコメントを添えて展示したとのことだった。子どもたちが日常的に描いているマンガ、イラスト、スケッチ、落書きなど、子どもたちの絵を描く行為の中に、子どもが表現することの意味や価値を見いだしたいと考え始めたとのことだった。

2 スケッチブックから
 9月7日(火)に実際に、「子どもの世界を見つめる展」に出品した作品を見せていただいた。色鉛筆、クレヨン、カラーペン等を使って描かれていた。子どものこだわり、興味を持っているものがとてもよく分かったし、描きながら発想が広がっていったことが想像できた。どれも「子どもが本当に描きたいものを描いている」と感じる絵だった。
 スケッチブックそのものも見せていただいた。スケッチブックの展示もしたそうだ。ある子は、何枚も何枚も乗り物が描かれていた。そのスケッチブックから、絵の連続性、その子のこだわり、価値観等も見えてきた。
 ちょっと薄めの紙のスケッチブックだということで、子どもは構えることなくどんどん思いを描いていきやすいのではないかと感じた。また、1冊にまとめられているので、子ども自身が自分の活動を振り返りやすいのだと感じた。

3 絵をかくということ
 木村先生の話の中に、朝読書等好きな本はどんどん読むことはとてもよい勉強だと認められているが、子どもたちが自由帳などに好きな絵をどんどん描いていることは勉強だと認識されていないのではないかという話があった。本当にその通りだと思った。私も、休み時間に自由帳に絵を描いて楽しんでいる子がいたけれど、それが勉強になるという考えはなかった。

 低学年ほど、イメージで考える。だから、絵を描くことで考えているのではないか。そして、絵で考えてから活字がでてくるのではないか。文字の勉強を先にやっても、文字からイメージを浮かべることは難しい。だから、低学年ほど自由に絵を描くことをたくさん経験させたいという話がとても印象的だった。

 そして、見ないで描ける子の方が自由に描ける。見ないで描ける子は、見ても描ける。しかし、見ないと描けない子は、見ないでかくことは難しい。という話も印象的だった。
 これは、見ないで描ける子というのは、自分の思いがあり、発想が鍛えられているということなのかなと思った。そして、木村先生は、見ないで描ける子を育てたいと話してくださった。
 低学年では、描きたい衝動にあわせてどんどん描かせる。そういう経験を積んでいれば、中学年で、空想で描けるようになる。そして、中学年で、空想の絵を描く経験をたくさん積んでいれば、高学年でも、空想の絵が描けるようになるのではないかと話してくださった。そして、高学年で見ないで描ける子は、絵を書き慣れた子なのではないかとも話してくださった。
 どの学年も非常に大切なのだが、特に中学年で、いろいろな表現方法をしり、自分の思いに合わせて表現方法を選ぶ経験をいかにするかがその後の活動に大きく影響するのだと感じた.


富士山(たぶん富士山、きっと富士山)が見えたことがうれしかった↓
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もうすぐ着くよ↓
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坊ちゃん列車(平日だからかな、1両しかない・・・。)↓
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by hita61 | 2010-09-07 23:06 | 小学校
 文部科学省初等中等教育科教科調査官の村上尚徳先生の全体指導・講評も大変勉強になった。私は、下記のように理解した。

1 造形遊びについて
「造形遊び」は、意欲、夢中になる、工夫するなどの遊びの特性を生かしている。
 子どもは、体の感じ方を通して、実感していく。だから、体験したときは、気付かせる、振り返らせる手立てが大切である。その時期にしかできない、感じ取れないものがある。

2 写実的な絵だけがうまいということに陥らないために
 作品作りを通して、自己をもう一度見つめ直させる。人と違っていい。自分が表したいことを大切にする。
 例えば、「手を作りましょう」という提案だと、子どもは、自分の手を見て、そっくりにつくることがよいとなるだろう。
 「ショパンの手を作りましょう」という提案をするとどうなるだろう。
 まず、ショパンの曲を聴かせる。→曲から指を想像させる。
 しなやかな指を想像する子もいれば、力強い指を想像する子もいるだろう。
 自分の表現が大切なのである。そして、それに向かって工夫していくことが大切なのである。

3 言語活動について
一丁目一番地のようなもの。つまり、とても大切である。
①知的活動の基盤である。論理的思考の基盤である。
②コミュニケーション、感性、情緒の基盤である。

 作品を見てどう思うかの問いに答えられなければ、色や形についてどうかという言語で視点を与えることで、感じ取ることができる。
 グラデーション、明暗などを知るとその概念ができ、そのように見ることができるようになる。
言語で視点を与えることで、概念を与えることができる。

 体験から感じたことを絵で表現することも言語活動である。見たこと感じたことを自分の言葉で表現することも言語活動である。

 養老孟司氏の東大の教授時代の話を使って、
東大医学部の学生に頭蓋骨を2つ見せて、気付いたことを話すという面接試験を行った。一人の学生は、その面接試験で無言が続いた。そして、その学生からやっと出た言葉が、「こっちの方が大きいです。」であったという。
 文字になったことを組み合わせる力はあるが、現物を見て自分で発見し、言葉にしていく力に課題がある。この両方が大切であり、偏りがあってはいけない。

体験によって、言葉やイメージが豊かになる。
言葉によって体験からの学びが豊かになる。
連携を基盤に置くことは大切であるが、子どもの側から見たつながりも大切にしていくことが大切である。
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by hita61 | 2010-08-12 08:02 | 他の場所
 初めて全国造形教育研究大会に参加した。たくさんの先生方と話す機会を与えていただき、楽しく、とても勉強になった。特に、今まで高等学校の先生と話す機会がなかったので、高等学校の先生ともお話できてよかった。

 公開授業を見ながら、東京都府中市立若松小学校の大杉先生とお話をして、評価について私なりに考えることができた。
 それは、ただ子どもの活動のよさをほめるだけでなく、ここぞという時にほめる評価がとても大切だということだ。そして、それができるかどうかは、先生の力量が問われる時であり、先生がいる意味にもなるのだと思った。

 1年生、絵の具を手で広げたりひっかいたりして写し取るモノプリントの活動で、評価について考えるきっかけができた。
 子どもたちは、手で広げる感触、混色をなどを楽しんでいた。もし、絵の具をすべて混ぜてしまう前のマーブリング状態の色の時に、先生が「きれいな色だね。」と言っていたらどうなるだろう。絵の具を混ぜきる前のマープリング状態の色を写し取る可能性が生まれたと思う。そして、一人の子がそのような色の楽しみ方を発見することで、周りの子も色のおもしろさに気づき、新たな活動が生まれ、より活動が広がったのではないか。

 先生のここぞという時のほめる評価によって、活動を広げたり、深めたりすることができると思った。だから、ここぞという場面にいち早く気付くためにも、とにかく動いて子どもの活動をよく見ないといけないと思った。そして、ここぞという場面をとらえるためにも題材のねらいを明確にしておかなければいけないし、先生の柔軟性も必要だと思った。
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by hita61 | 2010-08-07 22:55 | 他の場所
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 内野先生は、掲示もかなり工夫されたいた。まず、図工室の壁一面に図工で使う道具が掲示されたいた。道具の名前は書いていない。道具の名前や使い方は、その時になって覚えればいいこと。ただ、こんな道具があるという情報を提供することは必要だと話してくださった。f0236373_72351.jpgf0236373_723841.jpg
 
 図工室以外にも、4年生が管理している立体めがねやぱらぱらマンガなどを展示した「見る見る美術館」があった。廊下には、右側通行を喚起するように児童の作品を展示していた。

 さらに、「これは俺の宝物。」とおしゃって今まで指導されてきた歴代の作品を見せてくださった。また、5年生の作品「ジャングルの生命(いのち)」は、すべてすばらしいし、評価でCとなる子はいないこともわかる。でも、AとBをどうわけていくか知りたいと話したところ、やってみればいいと、私が一クラス分をやって、見ていただいたりもした。ティンゲリーで使うモーターの組み立て方も教えていただいた。
 電動糸鋸をまだ使わない学年には、サービスタイムと言って、子どもが鉛筆で描いた形に切ってあげることもある。それは、やってあげているのではない。それも情報である。今はできなくても、こういうこともできるんだという情報を与えているのだと話してくださった。

 内野先生に次のことを伺った。
1 題材名「ジャングルの生命(いのち)」を使って育てたい能力
 描画のプロセス。絵を描く順序性、手続きを自分で考えて、密林という題材がもっている奥行きのある画面をどう5年生がとらえていくか。
 命に対する姿勢も大切。ジャングルそのものがすばらしい命である。

2 感性を働かせていたと思われる場面
 5年 題材名「ジャングルの生命(いのち)」について
 最初に何をやるべきか、その時の色の選択、順番、筆のタッチ、絵の具の量、水の量など自己選択する時にに感性が働いているのではないか。
 図工の感性は自己選択にある。自分で選んで自分で決める。どっちの色がいいかな、どっちの形がいいかななどのように、選択していく中でアートが生まれてくるのではないか。そして、そのあとに感性がついてくるのではないか、または、やがてついてくるものではないか。内面のアートを大切にしたい。

 色は一色ではないことを徹底的に教えている。子どもには、色は関わりであること、隣り合った色と一緒に色はきまってくることを教えている。
 「色は友達と一緒で、仲良し同士は同系色。一瞬きれいだけれども、緊張感はないよね。でも、そこに性格の違った友達が入ることで、緊張感が生まれ、もっとよくなるね。色の世界、配色は人間と同じだよ。」と話していると教えてくださった。

3 子どもに伝えたいこと
 自分のすてきさに気付いてほしい。表現することの楽しさを感じてほしい。今楽しい経験をするといことは必ず残っていく。
 楽しいは深い。楽しいは実は苦しい。ある程度ハードルが高い方が楽しいということを教えていきたい。そのために、図工の題材がある。考えが考えのままで終わらない、考えたことが実現できるのか図工のすごいところ。そして、それが図工の考えるということではないか。そして、それを最後までやれるということがとても大事なことではないか。
 図工を通して、勉強していく意味を教えていきたい。選択、決定できるのは自分であるということ。

4 授業で大切にしていること
 自己決定の場をつくる。
 ハードルを高く持つこと。
 幅の広い、広がりのある題材設定をすること。題材で何を感じてくれるか、子どもが世界をどう広げていけるかの題材設定を大切にしている。

 先生の課題提示は、ヒントでしかない。その課題を子どもが受け止めて、「ぼくだったらこういうジャングルにしたい。」という自己課題再設定をしていくものだ。それが、エネルギーである。だから、こういうジャングルを描きなさい、こういう風に描きなさいと細かい指示を出して描きなさいと言っているのでは、図工ではない。先生が言ったとおりに描いているだけである。
 ジャングルという課題を与えたならば、ジャングルの中に自由がなければいけない。

5 図工室経営で大切にしている
 一番大切にしていることは、安全性。
 子どもが自立しやすい環境づくり。道具がどこにあるか子どもがわかり、思ったときにすぐに使える環境。子どもの動線に立って動きやすい環境。
 作り合いの環境づくり。精神的なものである。それぞれの表現を尊重しあえる環境。そのために、先生がどんどん動く。
 図工大好きな子どもを育てたい。

6 先生にとって図工とは
 子どもにとっての図工とは何かを考えること。

 最後に、内野先生は、15歳から社会経験があること。中学を卒業してすぐに勤めたところが変電所、町の鉄工所。父親と鉄工所経営したこと。働きながら、高校、大学に行ったこと。職工経験が私にとっての美術大学だと話してくださった。


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by hita61 | 2010-08-04 23:43 | 小学校
 第5学年 題材名「ジャングルの生命(いのち)」
この題材のねらいは、あるジャングルを想定し、それにあった主調色を見付け、密集した植物を描くこと。奥行きを意識しながら、主調色の反対色を感じて、生命を描き加えていくこと。とのことだった。
 ジャングルの主役は植物の密集であることを押さえなければいけない。そして、ジャングルの中にもうひとつの命が生まれてくると話してくださった。

 内野先生は、とにかく子どもの絵をよく見て回っていた。そして、子どもの絵の指導をしながら、いろいろな話をしてくださった。

先生の役割について
・教師は何を準備するかが大切。環境を整えてあげることがとても大切。
今回の題材では、内野先生は、都立夢の島公園夢の島熱帯植物館へ行って実際に資料となる写真をたくさん撮ってきていた。また、熱帯地方の図鑑も用意されていた。
・子どもの中に突っ込んでいくことは大切。それは、子どものやっていることに対するサポートである。しかし、先生の思うようにやってしまえば、それは先生の絵になってしまう。
・技法は、その都度、その都度ニーズによって与えればよい。そうしなければ、みんな同じ絵になってしまう。
・絵は120%やらせる。できました、まだできていません、これでいいです、もっとやりたいです、という完成度を育てる。そして、このことは同時に鑑賞の学習でもある。
・完成度を育てることは、1年生のうちからやらなくてはいけない。1年生でも、自分で考えて、できました、これでいいですと言ってもってこさせなければいけない。
・導入は言葉ではない。その前に、自由な環境、雰囲気ができているか。子どもの心的な環境ができているかがとても重要である。

机間指導しながら子どもに話した言葉
・もっと勇気をもて。
・くちばしは線ではない。
・もっと冒険してもよい。こわがらない。失敗したらまたぬればよい。
・鳥は、羽とくちばしの色は違う。
・翼は翼の感じ、体の場所によって羽の感じはちがう。
・猿はとってもかわいいけれど、猿の手が大切。何かをつかもうとしているのだから、手足の先の表現をもっとやる。
・空間を大切にする。林をもっと描くと奥行きはでる。
・葉っぱがはっきりしない。外枠だけがはっきりしている。主役は外枠ではない。葉っぱの中があるから、結果的に外枠ができるものだ。
・その筆ではできないから、先生の筆を使ってみて。どうして先生がこんなぱさぱさの筆をとっておいたかわかる?ほら、羽毛が描けるよ。
・思い切った色をつかってください。
・5年生だから言うよ。君が描いたこの蓮は上から見た蓮。でも、横から見るとどう?よく見て。

・すばらしい。
・君ならできます。絶対にできます。
・自信を持て。大丈夫よ。
・すごくきれい。きれいだけれど、何かが足りない。
・満点です。でも、それに満足しない。
・わかった?できるよ。
・いいよ、どんどん描いちゃえばいい。ぱーってぬっちゃって、それから考えればいい。
・失敗したっていいんです。またやればいいんです。やり直すことも勇気です。

 内野先生は、必要な子には、どんどん言葉がけをしていったし、技法も教えたし、金、銀の色を作ってあげたりもしていた。
「子どもの中に突っ込んでいくことは大切。それは、子どものやっていることに対するサポート。しかし、これで、先生の思うようにやってしまえば、先生の絵になってしまう。」
この言葉が意味するところがとても重要だと思った。

私は、現場で起こっている問題点は、次のようなことだと思う。
・指導すべきところを指導していない。一見子どもの気持ちを尊重しているようだが、放任している。
・子どもが自分で決めるべきところを先生が指示をだし、先生が決めてしまっている。
・子どもが自分で発見すべきところ、自分で気付くべきところを、先生が教えてしまい、先生が子どもの発見と気づきを奪っている。

 私には、内野先生のように、見てすぐに、子どもの思いがよりよく表現できるようなサポートはできない。見ただけでは、どこまで口を出していいのかわからない。だから、「対話」が必要なのだ。先生の役割は、その子の思いがよりよく表現できるようなサポートをすることだった。

 「下塗りは単なる背景ではない、世界の色だ。」という言葉もとても印象に残った。
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by hita61 | 2010-07-27 23:25 | 小学校
 7/13(火)に東京都品川区立第三日野小学校の内野務教諭の授業を見学させていただいた。内野先生は、ドキュメンタリー映画「トントンギコギコ図工の時間」(監督・野中真理子)の舞台となった第三日野小学校の図工専科の先生である。
 授業は、第1校時から第6校時までの計6時間見学させていただいた。第1校時から第4校時は、5年生2クラスを2時間ずつ、第5・6校時は、6年生の1クラスの授業を見学させていただいた。更に、休み時間や放課後もお忙しい時間をさいて、お話をしてくださった。
 内野先生は、「本当にずっといたね。」とおっしゃったが、本当にずっといたくなる図工室であり、内野先生だったのだ。私にとって、刺激的で、新しく知ること、感じることが多く充実した一日だった。第三日野小学校では、内野先生が子どもたちに何を語り、どう関わっていくのかを見たいと思った。
 
 内野先生は、子どもたちにABCの3つの勉強についての話をされていた。これは、内野先生が子どもたちにずっとお話をされてきていることだ。
Aの勉強は、音楽、図工などの芸術の勉強。
Bの勉強は、国語、算数などのように点数がつくもの。基礎的・基本的な勉強。大切だし、なくてはならない。そして、教えてもらうための勉強。Bの勉強の中にも、Cの勉強はある。
Cの勉強は、自分から社会の知識を身につけていく勉強。口蹄疫、ワールドカップ開催国についてだったり。Bの勉強ができても、Cの勉強ができていないようではだめ。
ABCの勉強3つが1つになって、私たちは豊かな人間になれる。
という話をされていた。この勉強の話はとても共感できるものであったし、こういうことも子どもたちにちゃんと伝えていかなければいけないことだと思った。

 内野先生が、子どもたちに語る言葉がとても勉強になった。その言葉がもつ意味がとても重要で、教師の姿勢としてもとても重要なことだと思った。だから、今回は、内野先生が話されたことを書きだした。

 5年生の授業は、椅子作りのイメージ図から始まった。子どもたちは図工ノートに、9つ程度の椅子のイメージ図を描いてきていた。内野先生は、図工ノートを見て、f0236373_2316249.jpg
・悩みが足りない。
・こだわっていない。
・新しい線、形で椅子を作ろう。
・みんな同じではない。
・例えば、曲線からイメージするなど、言葉から考えるのもおもしろい。
・椅子の脚、座るところ、背中にあてるところが、ばらばらではいけない。それをトータルデザインという。
・脚は、1本でもいい。では、1本で立たせるときはどうすればいい?
・デザインを冒険しましょう。
・この形はだめだと、自分の仕事に×をつけてはいけない。そこから、自分の仕事をふくらませるのだ。どうすれば、それができるか考えるのだ。例えば、(絵を描いて見せながら)こんなときどうすればいい?
・浦和の埼玉県立近代美術館には、くちびるの形をした椅子があるよ。東京都デザインセンターにも行ってごらん。いろいろあるよ。
・先輩が作ってきた椅子の写真がたくさんあるから、見てください。ただし、まねをしてはいけない。
・テーマは大切。
・材料は大切。場合によっては、材料から形を発想することもある。形を作るために、どんな材料がいいか考えることもある。
・座れなくてもいい。アートの椅子だから。図工室の椅子は、象が乗っても大丈夫なほどとても丈夫にできている。使えるための椅子もとても大切。でも、図工では、アートな椅子。
・形や色にこだわりをもちなさい。
・自分の中のものをあきらめてはいけない。

 子どもたちは、また自分の椅子のデザインを考えてくることになった。

 内野先生の言葉から、椅子のデザインを通して、もっと、もっと、考えろ。自分を高めろ。もっと、自分と向き合え。中途半端なことはするな。というメッセージが感じられた。そして、子どもが何をどう考えていけばいいのかが分かるように、形、色、材料、テーマ、デザインなどの視点の指導をしていた。
 映画で見た椅子は、子どもたちが本当に、練って、練って、練って作りだしていたものだと分かった。そうやって作っているものだから、制作の集中力も違うし、作品に対する思い入れも違うのだ。

 特に「この形はだめだと、自分の仕事に×をつけてはいけない。そこから、自分の仕事をふくらませるのだ。」「自分の中のものをあきらめてはいけない。」という言葉が印象に残ったし、すごくいいなぁと思った。
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by hita61 | 2010-07-26 23:19 | 小学校
 芦原小学校は、新設されて6年目になる学校だった。ガラス張りが多く取り入れられた、オープンスペースをもつを校舎だった。校舎内に、額に入れられた児童の絵画や、いろいろな場所に立体作品が多く掲示されていた。額に入っていると、絵が引き立つし、子どもも大切にされている気持ちになると思う。また、校長先生も絵をお描きになるとのことで、校長先生が描いた絵も飾られていた。

 様々な都合上、額に入れることは難しい学校もある。本校では、児童の作品を掲示する時、直接作品に画鋲をさして掲示しないようにしている。それぞれの場所で、児童の作品を傷つけないような掲示の仕方を工夫することが必要だと思う。そして、それが児童を大切にすることになるのではないかと思っている。f0236373_23282653.jpg

 多目的ホールの天井には、5年生が和紙のロール紙に描いた作品が掲示されていた。芦原小学校では、「豊かな国際性を身につけた人間の育成」について研究をしていて、図工で「文字を使って日本の良さを世界に伝えよう」というテーマで発想し、活動したときのものだそうだ。5人1組程度の班で、1作品を仕上げていったとのことだった。

 3・4校時に見学させていただいた題材名「ギコギコ、コロコロ、たのしいなかま」について次のようにお話をしてくださった。
 題材名は、教科書通りの「ギコギコ、コロコロ、たのしいなかま」である。しかし、本時の学習の内容が、子どもたちにとって分かりやすいように「木のコレクション」というタイトルを付けた。
 最初に作るものを決めてしまうと、子どもはそのようにしか切らない。だから、最初は「木のコレクション」という形で、いろいろな木をいろいろな形に切ることを楽しんでもらいたかった。
 次回は、木のコレクションを組み合わせて立体にしていくので、また違うタイトルを提示するとのことだった。
 また、のこぎりなどの道具の使い方について、すべてを教えなくてもよいが、基本的なことを教える。この場合は、どうすればよいのか自分で考えることが大切で、自分で考えて切れた時ほど、子どもはうれしいし、達成感があるのではないかとも話してくださった。

長尾先生に次のことを伺った
1 本題材を通して育てたい能力
 「どうやって切ったらいいだろう。」「この形に切るためにはどうしたらいいのだろう。」という思いは、やらないと湧いてこないし、考えていくことができない。まずは、切ることを通し、試行錯誤し、切り方を工夫していくような力を育てていきたいと思う。

2 本題材で感性を働かせていると思われる場面
 本時の場合であれば、木材の種類を選ぶ、色、におい、かたい、やわらかいを感じることが大切であり、この部分で感性を働かせていると思われるのではないか。次の段階になると、磨くことが加わってくる。磨いていくと、また、さわり心地がよい、木目がきれい、香りを感じるだろう。また、木を組み合わせて行く過程で、木から心地よさや美しさを感じる、自分で作った形から自分が刺激をうけるなど、五感で感じられることが、その子の中で感性として育っていくような気がする。

3 授業で大切にしていること
① 表現することを楽しんでもらいたい。
② 表現する喜びを感じてほしい。
③ 躊躇せずに自信をもってやる子どもに育ってほしい。
④ いろいろな経験をさせること、自分で発見させること。

4 子どもたちに伝えたいこと
 図工は、プロを育てるためのものではない。子どもたちがやがて大人になってどんな職業についたとしても、自分で造り出す力、考える力、人に自分の考えを伝える力は必ず必要になってくる。図工を通して、創造する力、考える力、人に自分の考えを伝える力などを育てていきたい。

5 図工室経営で大切にしていること
 既習事項を生かすためにも、表現に選択の余地を作るためにも、道具や材料の充実を図り、整備、準備をしっかりすること。子どもが選ぶことで、感性が育っていくだろうし、創造力を育むことにもつながっていくのではないか。
 子どもが自分の表現する上でのヒントにもなるので、校内掲示や展示にも気を配っている。掲示や展示された作品を、子どもたちは自分なりに鑑賞している。そのことが、実際に自分の活動に何らかの形で出てくる場合もあるし、出てこない場合もある。しかし、掲示や展示があるのと、ないのとでは違うと思う。

6 先生にとって図工とは
表現するって楽しい。
自分の夢を形にできる。 こうしたいな、こうだったらいいなを絵の中、立体の中でできる。
図工で、子どもの創造力を育てることができるのではないかと思っている。

7 教科書を使っていない先生もいるが、このことについてどう思うか。
 教科書は、研究を重ねてしてつくられているので、能力を育てる要素がつまっている。自分で、やっていくのだったら、それで何が育つのかを明確にしていく必要がある。そうしなければ、図工で育てるべき能力が育たないのではいか。

 その他にも、いろいろな経験をさせたこと、自分で発見することを大切にすることについて次のように話してくださった。例えば、クレヨンを使う題材なら、色を塗る道具だけではなく、ひっかくスクラッチ、ぼかし、バチック、混色もできることなどを経験させる。そのような経験をすると、子どもたちはいろいろなことをやり出し、新たな発見をしようとする。その中で、工夫することは楽しい、発見をすることは楽しいという気持ちが生まれるのではないかと話してくださった。だから、新しいことをしたらほめるようにしているとのことだった。

 最後に、図工をやっていて一番楽しい時は、先生が思っていなかったことを子どもがやり出した時だと話してくださったのが印象的だった。
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by hita61 | 2010-07-21 23:30 | 小学校